無題

‪「山寺がさ、店長ぶん殴ったらしいんよ」

 藤木は咥えたタバコのフィルターを噛み潰しながら言った。俺は品出ししてたからわからんかったんやけどと続ける藤木の口端から煙が上がって僕の肩をすり抜けた。

‪ 「でも、店長の方は殴られたことには驚いていたみたいやけど、すぐにいつも通りの、あのよう分からん抜けた顔でさ、『山寺くん、レジ入って』って」

 藤木が店長の顔を真似する。驚いたような目が落ち着きを取り戻して平らになっていく。

‪「クビにしてもらえると思ってたあいつが店長に『俺をクビにしないんすか?』って訊いたら、店長さ‬『僕にそんな権利はないよ』とかなんとか抜かしたらしいねん。クソみたいな店やねんな。どんだけ人手不足やねんて」‪

 

   僕の体の80%は廃棄の弁当でできてる。残りの20%はゴミ。じゃあ、もう100%ゴミやんって君は言うやろけど、その通りやねん。あほらしくてしゃーない。僕やって死にたくてしゃあないねん。