2018-01-01から1年間の記事一覧

今生の

病に床臥し、いくばくか流れた。 身体に三粒の腫れ物がたたっている。 ひとつは欲する。ひとつは願う。ひとつは哀し。 弾けることが全てと、膨れて、いつかを待っている。 今は小さくても、やがてビッグになってやると腫瘍は夢を描いている。 心の浜辺に腰を…

あ(昔書いたやつ)

ひらけた。うまれた。とんだ。 君の瞳に僕がうつって、世界ができた。 この時に君がすこし嫌な顔をして、僕は笑ったから世界はゆがんだ。 手のひらの中で大事にされた泥だんごのような世界は自分がなんでもできるとカンチガイしていろんな方向にのびたり、と…

今日の日記

夏に蝕まれている。いや、オレが夏を侵しているのか。よくわからん。死ねと言われてもわからん。ろくに死ねやしない。寝不足でなら死ねるかもなぁと振り返った矢先、君は暑さに倒れて死んでいる。あぁ、夏に蝕まれている

明日変えると思います

焼えいひれとキクラゲ 上白糖の雨 公共料金未払い どっかの家からカレーの匂い お母さんお父さん 兄、嫁さん 知ってる? ねえ知ってる?って バカみてえでやんの 死にたい ねえ死んでよって バカみたいだ

百円のサンドウィッチとラッキーストライク(昔書いたやつ)

畠山は二階から外の景色を見ていた。 鼻をかんだティッシュみたいにクシャクシャの雲と、空の色が映ったらしい真っ青な海が畠山の目の前に広がっている。 反射したり、滲んだり、褪せたりして、なにごともないかのように存在する。 目というのは不思議だ、と…

執拗に夏を嫌う女(昔に書いたやつ)

八月が嫌いだ。 肌もTシャツも、爪の先から舌の根っこまで、元気のいい太陽に照らされて黒ずんでいくから嫌いだ。 初めて、親知らずを抜いたのも八月だったし、好きだった男の子に違う女がいたことを知ったのも八月だ。 別に、悲しくなんてないよって言う私…

すごく昔の話(昔に書いたやつ)

イクチオステガは悩んでいた。 生命とは海で生まれたものであり、彼の父も祖父も魚として、水の中で生命を全うした。彼らは海の生態系のトップであり、なに不自由なく生きた。 父が死んだ時、彼は新しい世界を見たいと望んだ。強く望んだ。すると、水をかく…

コピーアンドペーストの成れの果て

まだ、生きている 照明が当たる場所と それによってできた影の部分を 行きつ戻りつしながら 人生は壮絶かしらと 唱え 私は口笛など吹かない そんな虚さ加減など知らない しかし、まだ、生きている 舞台は閃光だ ロウソクの火は明かりでなく 焼けた眼差しだ …