あ(昔書いたやつ)

ひらけた。うまれた。とんだ。 

君の瞳に僕がうつって、世界ができた。 

この時に君がすこし嫌な顔をして、僕は笑ったから世界はゆがんだ。 

手のひらの中で大事にされた泥だんごのような世界は自分がなんでもできるとカンチガイしていろんな方向にのびたり、とんがってみたり。それをみた何もしらないヤツがまるで、前髪の寝グセをなおすかのように些細な気持ちで世界をきょうせいした。世界はこわれた。 

世界は笑った。 

視界がひらけて、身をゆだねると自分が新しくうまれたような心地がした。世界は空をとんだ。 

そして、おちた。 

おちて黄身か白身か判別ができないほどに世界はぐちゃぐちゃになった。 

こうしてぐちゃぐちゃになってみると世界はどうでもよくなった。価値観も、愛したヒトのこともわすれて世界は笑った。 

ひとしきり笑ったあと、世界はそういえば今日の10時から卵のタイムセールがあったことを思い出した。世界は少し後悔した。