2018-05-30から1日間の記事一覧

百円のサンドウィッチとラッキーストライク(昔書いたやつ)

畠山は二階から外の景色を見ていた。 鼻をかんだティッシュみたいにクシャクシャの雲と、空の色が映ったらしい真っ青な海が畠山の目の前に広がっている。 反射したり、滲んだり、褪せたりして、なにごともないかのように存在する。 目というのは不思議だ、と…

執拗に夏を嫌う女(昔に書いたやつ)

八月が嫌いだ。 肌もTシャツも、爪の先から舌の根っこまで、元気のいい太陽に照らされて黒ずんでいくから嫌いだ。 初めて、親知らずを抜いたのも八月だったし、好きだった男の子に違う女がいたことを知ったのも八月だ。 別に、悲しくなんてないよって言う私…

すごく昔の話(昔に書いたやつ)

イクチオステガは悩んでいた。 生命とは海で生まれたものであり、彼の父も祖父も魚として、水の中で生命を全うした。彼らは海の生態系のトップであり、なに不自由なく生きた。 父が死んだ時、彼は新しい世界を見たいと望んだ。強く望んだ。すると、水をかく…

コピーアンドペーストの成れの果て

まだ、生きている 照明が当たる場所と それによってできた影の部分を 行きつ戻りつしながら 人生は壮絶かしらと 唱え 私は口笛など吹かない そんな虚さ加減など知らない しかし、まだ、生きている 舞台は閃光だ ロウソクの火は明かりでなく 焼けた眼差しだ …